るい動物病院のブログ 知多半島エリアで往診専門の動物病院をしています
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難しい病気のワンコ
2014年10月10日 (金) | 編集 |
以前の勤め先から何年も診ているお年寄りのコーギーさんがいます。

ことワンコは”炎症性筋症”という病気です(確定診断をしたわけではなく、症状からの暫定診断です)。
この病気はお顔の筋肉が少しづつ萎縮して、顎がうまく動かせなくなったり、舌がうまく動かせなくなる、原因のはっきりわかっていない難病です。
体内の免疫が関与していると思われるため、免疫抑制剤を使いながら、少しでも病状の進行を遅らせる、というのが治療の方法となるようで、もう何年も薬を飲んでもらっています。

私は神経系の専門家ではないので、自分の探せる範囲の資料で見つけた情報で、症状が合致していたのが
この病名だった・・・のですが。

体はまるまるして普通の体格なのに、顔だけが余分なお肉がなく
骨が浮き出ている状態で、顎がうまく閉まらないので常によだれも出てしまいます。
しかも、萎縮した長い舌は、紙のようにペタンと折れ曲がってしまうので、うまく食事を運ぶことができず、当時、飼い主さんと試行錯誤した結果、粒の大きなフードを使ってなんとか自力で口の中に拾ってもらい、ご飯が食べてれている状態です。


この病気は進行性の病気で、嚥下がうまくいかなくなったり、歩行がうまくいかなくなる形で進行するようで、この先、ご飯がうまく食べられなくなったら手の施しようがないかもしれない、という話は飼い主さんも了承してくれていますが、とても献身的にお世話をしてくれています。

すごく幸せなワンコだと思います。

先日、そのお宅から電話がかかってきまして
『一日中お水ばかり飲むようになって、ご飯も食べないくなってしまった・・・もうどうすることもできないのだろうか・・・』

年齢も高齢なので、病院に連れていく負担を考えると、往診に来てもらったほうがいいかも、とのことで伺うことになりました。

実はそのお宅、知多半島の先端にあり、私の往診範囲からすると、一番往診代がかかるエリアになります。

往診先に向けて運転をしながら”高い往診代をいただいて、もしかしたら何もできないかもしれない・・・”なんてマイナスなことを考えながら往診先に到着。

確かに本人、のどが渇いて仕方ないらしく、伺った時からずーーーっとお水の入った洗面器をぺちゃぺちゃしています。

お水をたくさん飲む病気・・・・糖尿病、腎臓病などがあるのですが、
話を聞いてみると、お水を飲む割にはおしっこがたいして出ない、とのこと。

・・・・これは、お水をたくさん飲んでいるのではなく、お水を飲もうとしても飲めなくなっている、、ということなのです。

飼い主さんも、お水が飲みにくいのかな、と思って、浅くて広い洗面器や、
深さのあるバケツにお水をたっぷり張ったりして、工夫はしてくれているようですが。

ご存知のように、犬は器用に舌の先を丸めてお水を口の中に運びます。
でも、このワンコは飲もうとしても、舌でペチャペチャとお水を揺らすだけで、
舌が濡れた分しかお水を運べず、脱水になっていたのでした。

嚥下はできそうなので、口の中にさえお水が入れば飲むことができそうですから
少し大きめの注射ポンプを使ってお口の脇から直接お水を入れてもらうことを提案。
顔が上を向いてくれるくらいに、少し高いところから与えたほうが、受け皿になる口に収まりやすくなります。

さっそくやってみると、顎が完全に閉まらないので半分くらい流れ落ちますが、飲めている様子です。

本人も、この方法で飲めることをすぐに理解したようで、ポンプを口でつついて
”もっともっとお水ちょうだい”と催促してきます。

何度も何度もポンプでお水を運んであげると、それはそれは本人もお水が飲めて嬉しそうです。

ただ、10kg超えたコーギーでこの方法では、飼い主さん、何十回もやらないといけません。。。

『外の水道の蛇口からちょろちょろと水を出して、それが飲めるようにしたらどうだろう』

という話をしたら、

『じゃあ、20Lのアウトドア用の蛇口の付いたタンクがあるから、それでいけるかも!』
と、タンクを持ってきてくれて、バケツの上にそれを置き、
その蛇口からお水をチョロチョロと出したら、これぞビンゴ☆という感じで、
一生懸命飲みだしました。

あんまり一気に飲みだすと、それはそれで吐き出しちゃうことがあるので、いったん休止し、
脱水分をひとまず補うのに、背中に点滴をして水分補給をしました。

勢いよく飲みすぎて吐かないように気を付けながら、お水をあげてもらうようにお願いし、この日は帰りました。

心配だったので、3日後にもう一度伺ったのですが、すっかり落ち着いたようで表情も良くなり、お水も異常に求めることはなくなったそうです。
食事も固形物はうまく食べれなくなっているのですが、ポンプを使って流動食ならお水を飲ませる要領で食べてくれるようで、ひとまず安心・・・・ということになりました。

ただ、症状が一段階進行してしまったのは事実なので、今後も考えないといけないことがいろいろ出てくるかと思うのですが、あー、往診来てよかった~ってホントに思いました。

直接おうちに伺うと、そのペットの生活空間を拝見することになるので、
こういった教科書にマニュアルのない対応に関しては、飼い主さんと一緒に考えれば
ペットにとって一番よい方法が提案できるのかも、、、って思いました。

その帰りの高速道路は、とっても気持ちよく運転できました~☆
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コメント
この記事へのコメント
難しいね
ペットをとおして、終末医療のあり方を考えさせられます。
往診ならではのケアだし悩みだなぁ

素晴らしい経験ができていますね。
2014/10/10(金) 17:49:48 | URL | chun #Y0BAREbE[ 編集]
まだ、終末医療の段階ではないのだよ(^^)
ワンコさん、元気だしね。

でも、解明されてない病気が沢山あるのは確か。
人と違って出来ることに限りはあるし、何時間もかけて大学病院や、専門の病院に行くのも負担になるからね。
人と同じような医療保険もないし、多分獣医療は人の医療とは違った悩みが多いんでしょうね。


2014/10/10(金) 22:03:03 | URL | #-[ 編集]
失礼ながら、我が家の介護状態を思い出します。
ワンコの状態や行動に、一喜一憂でした。

獣医療は、人に比べたら発展が遅く感じられますが(個人の感想です)、これからも楽しみながらの尽力を願います。

今日(昨日?10/10)は、我が家のワンコの誕生日だったので、ついつい記念カキコ。
2014/10/11(土) 01:24:07 | URL | コロパパパ #-[ 編集]
>コロパパパさん
そうですか~。10日はコロちゃんの誕生日だったんですね♪
コロパパパパ夫妻は、本当に頑張ってましたからね。

正直あの当時、私自身”もう厳しいのかな”と思った時期も何度かあったのですが、
お二人の懸命な介護、いつも頭が下がる思いでした。

獣医療はかなり人医療に近づいているんですが、新しい治療、キメの細かい医療を提供しようと思うと
設備の整った大学の病院や、大規模な病院でないと出来ないということと、
各科を専門に行う動物病院も出てきてはいるのですが、やはり人の集まる都心部にあることと、
医療保険のない分、人に近づこうとすればするほど、飼い主さんの医療費の負担が大きくなるということで、なかなか難しいものがありますね。

2014/10/13(月) 22:59:14 | URL | maco #-[ 編集]
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