るい動物病院のブログ 知多半島エリアで往診専門の動物病院をしています
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首が触れないワンコ
2016年08月25日 (木) | 編集 |
『首輪が抜けちゃったんですけど、首元を触ると咬んでくるので首輪が付けられないんです・・・』

『外飼いでリードでつないでいるんですけど、リードが切れそうで、、、でも首を触ると怒るので触れないんです・・・』

この1カ月にこんな往診依頼が3件もありました。。。

216414.jpg

これは獣医療の範疇でないとは思うのですが、飼い主さんからすると切実な問題。
場合によっては鎮静剤を注射して処置しないとお互いが怪我をしてしまいますので伺いました。

今回は1匹が大型犬ミックス、2匹は柴犬です。
飼い主が首を全く触れないということは、日頃のうまくスキンシップが取れていないとか、コミニケーションがうまく取れていないとか、飼い主と犬の関係性に問題があるわけなんですよね。

犬にとっても良い環境ではないはずなので、お宅に伺うまでは、頭の片隅には”一言説教せねば・・・”と思ってう伺うのですが、おうちの事情をお聞きすると、なかなか飼い主さんを責めることができない状況なのです。

若いころは毎日散歩に行っていたのですが、飼い主さんもご高齢になってきて、20kg強の体重の元気の良いワンコを散歩に連れ出すのが大変になってしまい、繋がれたままになってしまって犬にも多大なストレスが溜まっている状況。
飼い主さんも可愛い気持ちはあるのですが、たまったストレスを吐き出すところがないので、すぐに興奮してしまい、ちょっと嫌なことをしようとすると手が付けられない。興奮してすぐに口が出てくるようになったので、飼い主も可愛がりたいのだけれど近づけなくなってしまっている。
別の往診のかかりつけ医に連絡したが、飼い主さんが怖がるほどの状況だと獣医師自身も咬まれてしまうからと断られたとのこと(正直、その獣医さんの気持ちもわかります・・)。

もう1匹は、普通にしていればすごくお利口さんなのに、首に触れようとすると、突如攻撃的になってしまうので、首輪にリードを着けたまま、室内飼いをしている状況。

もう1匹も普通にしていれば愛想がいいのですが、首に触れようとすると攻撃的になってしまう。
このお宅はご主人が亡くなられて、ご高齢のご婦人が1人で飼われているのですが、飼い主様自身が足を悪くされて、しっかりと歩けない状況。
ご近所の方が心配して犬の世話をしてくれたりしているのですが、なかなか手が行き届かない。

愛想の良いワンコさんたちは、首に手が行く行為に対して”恐怖”を感じて防衛のために口が出てくるだけで、その恐怖の原因は、日常生活の中で、飼い主さんが気付かれていないかもしれない、『何らか』の事件がワンコの中で起こっていたのだと思います。

行動学の視点から行くと、時間をかけて恐怖を取り除いていけば少しづつ矯正が可能なのですが、家庭それぞれに事情があり、なかなかマニュアル通りの話は出来ません。

3匹のうち2匹は鎮静剤の注射を打って、首輪の交換をすることになりました。

”鎮静剤を打って・・”と言葉で書くのは簡単に聞こえますが、嫌なことをすると怒るワンコは鎮静剤を1本打つのもとっても大変なのです。

首輪が外れている子はフリーで動ける状況ですので、なんとか首にひもをかけて動きの抑制をしないと注射は打てません。
リードが切れそうな子は、強引にリードを引っ張ると切れてしまうかもしれません。
注射を打つ時には私も咬まれたくはないので、しっかりとリードを支えてもらいたいのですが、飼い主さんがその攻撃性を恐怖に感じているので、リードを支えきれない。。。

リードの持ち手に反対側を通して、首つりの輪っかを作り、おやつで誘ってなんとか首を通してひとまず締め上げる。
その後はワンコを板で壁に挟み込んだり、リードを板で踏み込んでもらったり。。。

なんとかするしかないのでかなり強引な行為になりますが、本当に大変なのです。
この行為自体が犬にとって多大なストレスとトラウマになるでしょうから、可哀想です。決して良いことではありません(やるしかないのですが)。
鎮静剤もリスクが全くないわけではありません、場合によっては命の危険や健康を害するようなことが起こるかもしれません。
高齢のワンコになれば、処置前に血液検査でもしたいところですが、当然そんなことは出来ず、、、やるしかないとはいえ、私の仕事はペットの健康を守ること。このような行為は強引で危ないことなのです。


体を触れない・・・普通に考えるとありえないことのように思いますが、意外とこのような関係になってしまっているペットは多いのかもしれません。
ネコちゃんの往診に伺うときも、飼い主さんが捕まえられない、抱っこできない・・・という子が結構多いのに驚かされます。

家庭の事情もいろいろでしょうが、本来はペットと人がお互いに癒される関係になりたくて我が家に迎え入れたはず。
犬にとっても決して幸せな環境とは言えないと思うのですが、こういった問題は本当に難しいと思います。
ここまで関係性がこじれてしまう前に、獣医師やドッグトレーナーさんなど、専門家に相談していただければな、と思います。

あと、もう1つ。
首輪が抜けるということは、その首輪はサイズが大きいということです。
1匹は新しく交換する革首輪が大きくて一番キツイところの穴にしても緩いので、緊急でその場にあったプラスドライバーと金槌で穴を1つあけてそこで締めましたし、もう1匹は平ヒモのタイプの首輪が1番きつくしても大きいので、針と糸をお借りして、強引に縫い縮めました。
いずれも鎮静がかかってから気付いたので、新しモノを買いに走る時間がなかったため、首輪が外れても、庭の中や室内に拘束しておくことが可能であれば、外れたリードを持ってペットショップに行って、ひとまわり小さい首輪を用意しておいてもらうことをお願いします。
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