るい動物病院のブログ 知多半島エリアで往診専門の動物病院をしています
ペットの食事は何が正しいのか
2017年06月08日 (木) | 編集 |
『犬や猫はドッグフード(キャットフード)と水のみで十分に栄養が取れるので、人の食べているものは与えてはいけない』

よく言われている話です。

一般の獣医師や動物病院はドッグフードを推奨しているところが多いというのも事実です。

最近は、そのことに疑問を持たれた飼い主様が手作り食を作って与えていたり、ネットのサイトに手作り食レシピが載っていたり、本も沢山販売されるようになっています。

いろいろ勉強されている方々が、セミナーを開いたりもしているようです。

私も2,3年前までは、犬はドッグフードを食べて入れば健康を維持できる、ということになんの疑問も持っていませんでした。

ドッグフードというものを真剣に調べていくと、メリット・デメリットはいろいろあり、疾患の管理などにおいては、最優先事項となる場合もありますし、忙しい日常の中では犬や猫のご飯まで毎日作ることは大変なので既成のフードはとてもありがたいものです。
ただ、今は、全否定するつもりはないけれど、”決してペットにとってのパーフェクトフードではない”という認識でいます。

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今、”比較統合医療学会”という獣医師を中心とした学会が主催している、獣医師を対象とした栄養療法のセミナーが開講されており、私は去年から勉強に参加しています。
獣医師が真剣に学び、考える
手作り食の勉強です。
アメリカで学ばれた先生が講師となり、理論的に手作り食というものを講義していただいています。

一般の方が、自分の(人の)食事を作り感覚でペットの食事を用意するといろいろと過不足が出ることがあり、なにが正しいのかわからないことがハードルとなって、手作り食はなかなか難しいという認識ようなのですが、ちょっとしたコツを押さえれば、そんなに難しいものではないと思っています。

セミナーに参加されている先生方の中にはずっと以前から手作り食を飼い主さんに推奨され、様々な病気や体調管理にめざましい成果を出されているようです。

犬の栄養学という分野は、まだ確立された学問ではないので、エビデンスに基づいて話をするのは難しいというのが現状ではあるのですが、人の栄養についても合わせて勉強していくと、人でも”栄養””食”ということについては、さまざまな考え方や理論があり、正解は一つではないのだ、ということだけは理解できるようになりました。

食について、興味・関心の高い飼い主さんは多く、一生懸命勉強されている方からは、
『獣医さんはドッグフードしか勧めてこなくて、食のことを分かっていない』
そんな評価をうけることもあるのですが、

世の中には真剣に”食”について考えて、日々頑張っておられる獣医師も沢山いるのだということをご理解いただければと思います。



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"覚悟する”ことと”諦める”ことは違う
2016年11月22日 (火) | 編集 |
私は往診専門ですから、動物病院に連れていくこと自体がストレスになるような高齢犬や、さまざまな病気の末期の患者さんからの依頼が多くなります。

『かかりつけ医からは、もうやることはないと言われた』
『このまま治療を続けるのも可哀想だから、無理して通院せずにおうちで看てあげたほうが・・・』

そんな患者さんです。

私も勤務していた十数年は、そういった決断を下さざるを得ない状況にしばしば遭遇してきました。
決して軽い気持ちではなく、それがおそらく一番よい選択なのではないかと思っていたからです。

状態が悪いのに、車に揺られ、待合室で待ち、診察台の上で治療する・・・それが患者さんにとって有益と思われないケースも出てくるのは事実です。

ただ、そう言われて動物病院とのご縁が切れた飼い主さんが、その後、どんな思いで、我が子と接しているのだろうかということを真剣に考えることはなかったかもしれません。

今は日常的にそのような患者さんと接しています。


自力で起き上がることができなくなった子は、なんとかして飼い主さんとコミュニケーションが取れるように。

食欲がなくなった子は、なんとかもう一度、美味しくご飯を食べてくれるように。

辛くて苦しそうな子は、なんとか気持ちよく過ごせるように。

腫瘍で、まだ元気はあるけれど、積極的治療は希望されない飼い主さんには、1日でも長く元気で穏やかに過ごせるように。

今まで十数年、本気でかかわることがなかった患者さんと、飼い主さんと真剣に向き合います。
いわゆる”ターミナルケア”です。

犬や猫の寿命は一般的に15~16年。
飼い主さんも永遠に一緒にいられないことは充分に承知されています。

いつか遠くない将来にお別れの日が来るという『覚悟』はしているのだと思います。

でも、状態が悪く、かかりつけ医になす術がないと言われても、私を、往診を呼ぶということは、『諦めたくない』のだと思います。
最期までなんとかしてあげたい、何かをしてあげたいと思われているのだと思います。

治療以外に飼い主になにかできることはないのか。
どうしたら、残された時間を気持ちよく過ごせるのか。
寝ている敷物の厚さはどんなものがいいのか。
お部屋の温度はどのくらいがいいのか。
何なら食べてくれるのか。そのように与えたらいいのか。
お水は冷たいままでいいのか、温めたほうがいいのか。
体が汚れた時はどうすればいいのか。
オムツはしたほうがいいのか、ペットシーツはどんなものがいいのか。
寝がえりはどのタイミングがいいのか、寝ているときは起こさないほうがいいのか。。

おうちによって、患者さんによって事情はすべて違ますから、本当にいろいろなことを聞かれます。
全てを的確にお答えできるわけではありません。

でも、今まで、こういった細かいことを獣医師に相談できず、不安なまま過ごされていたのかと思うと、今まで十数年、最後の最後まで関わることがなかった患者さんたちに申し訳なかったという思いさえすることがあります。

何か月も元気で頑張ってくれる子もいれば、ケアの甲斐なく数日で亡くなってしまう子も実際にはいます。
呼ばれたからには絶対に一度は元気にさせてあげたいと思っているので、落ち込むこともしばしばですが、私は往診を始めて、このような患者さんと接するようになってから、本当にこの仕事を選んで良かったと思えるようになりました。

・・・・最近、ちょっと落ち込むケースが立て続いたので、今日は自分自身を奮起するためのブログでもあります。

また、明日から頑張ります!!


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怪我して学んだ?こと
2016年07月21日 (木) | 編集 |
8月6日(土)、13日(土)、15日(月)は終日休診となりますので、よろしくお願いいたします。



大きな声では言えませんが(?)、私、先月の下旬に左足の甲を骨折しまして。。

ふくらはぎまでギプスが当てられてしまったのですが、幸い左足だったので、運転できましたから休むことなく往診はしておりました。
(道路交通法上は、ギプスなどが当たっている状態で運転するのはいけないことのようなので、ブログにあげることなくこっそりと?運転しておりました・・・)

現在はギプスからサポーターに代わり、かなり動きやすくなりました。

ギプスがついていた期間は3週間。
ガチガチのギプスではなく、L字型のものをあてがい、包帯でぐるぐると密着させるタイプだったので、1日に何回かは外しましたし、お風呂にも問題なく入れていました。

ただ、サポーターに代わって、動きやすくなっているのに、
足首の関節が固くなり、伸ばせないし、曲げれない。
ふくらはぎの筋肉がしなやかに伸びないのでしゃがむ、屈伸する恰好ができない。。。。

あ~~、これが廃用萎縮かー、と自分の体の変化にちょっとびっくりでした。

”廃用萎縮”とは、例えば寝たきりでいると筋肉が痩せて、本当に歩けなくなってしまう、あの状態です。
ふくらはぎが目だって細くなっているわけでもないのに、たった3週間で、びっくりするほど退化していました。

体というものは、とても合理的にできていて、使わない部分には栄養を送ってくれません。
筋肉もそうですし、消化管だって、脳みそだってそうです。
なので、生きているものは動かないといけないし、口からものを食べないといけないし、頭だって働かせないといけません。


ペットも様々な事情で、歩行が難しくなってくることがあります。
高齢であったり、関節の問題であったり神経の問題であったり。

例えば、膝の関節が悪くて歩かなくなると、後ろ足の筋肉が衰えます。
筋肉が衰えると、悪くなっている関節を支える筋肉が痩せますので、さらに歩行が大変になり悪循環です。
痛み止めの常用はよくないですが、必要な時には痛みを緩和しながら、サプリメントや、リハビリをして、衰えないようにケアしてあげると、整形学的な問題は抱えたままでも、歩行ができるようになります。

老齢で、踏ん張りが効かなくなってきた場合、歳だから仕方がないとそのままにしておくと、ひとたび起き上がれなくなると、急速に筋力が衰え、本当に立てなくなります。
ちょっと介助して腰を起こしてもらったり、サプリメントなどがその子の体に合うと、ちゃんと最後まで自力歩行ができる場合も多く経験しています。

脊椎の疾患で後肢が麻痺して歩けなくなると、神経の信号が足のほうに届かないこともあり、これも急速に筋力が衰えます。
鍼灸治療を始めて4カ月目に入った後肢麻痺のワンコさんがいます。
開始時には、太ももの筋肉がペラペラに痩せていたのですが、飼い主さんが毎日頑張ってリハビリをしてくれているおかげで、少しずつですが筋力がアップし、少しづつですが、神経的にも変化が出てきています。

『自分で歩行ができること』

当たり前のような話ですが、とても大事なことだと思います。
往診診療では、高齢犬の依頼が多いため、そのようなワンコさんを診る機会が増えました。

足腰が衰えることは”病気”ではないもんね・・・と捉える飼い主さんも多いです。
本当に寝たきりになってからだと、何をしても難しいことが多いのですが、
”最近、踏ん張りが効かなくなってきた”という状況なら、対処できることはいろいろありますので、お気軽にご相談くださいね。



私の左足は、1週間くらい少しづつ柔軟をしたおかげで、可動範囲が増えてきました。
さて、いつこのサポーターが外せるのでしょう?早く解放されたいです(^_^;)
被災地で往診獣医ができること
2016年04月26日 (火) | 編集 |
熊本の震災が起こって10日余りがたちました。

毎日のように、被害の状況や避難されている方々の現状が、テレビで流れています。

もう何十年前から来るぞ来るぞと言われている、この東海地方の大地震。
もしも、私の住んでいる地域に大きな地震が来たら、
地域の一員として、獣医師として、自分には何ができるんだろう、
何をすべきなんだろう、、、と往診の移動の車の中で、毎日ぼんやり考えていました。

すると先週末、東京で往診専門の獣医師をしている先生が、熊本に往診車で向かうという情報をいただきました。

”はる動物診療所”の櫻井先生です。
http://haru-ah.tokyo/



櫻井先生が開業される前に、我が家に往診車を見に来られたことでご縁ができ、いろいろ情報交換をさせてもらっている先生です。

奥様のご実家が熊本ということもあり、せっかくならと被災したペットや飼い主さんのお役に立てたら、、との思いで、往診車で熊本に向かわれたそうです。

たまたまTVの取材の方に撮影したもらったそうで、25日の月曜日の朝の情報番組で紹介されていました。

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・・・・そっかー、自転車なんだー。
映像を見て初めに思ったことでした。

おそらく道路の状況も良くないでしょうし、荷物こそ積めませんが、各避難所を回るなら自転車のほうが身軽で、自衛隊や物資を運ぶ方々のご迷惑にもならない。

避難しているテントの中や、避難所でペットを連れているご家族に、一件一件直接話しかけに行って、丁寧に診察したり、飼い主さんのお話を聞いている様子が映されていました。

震災が起こってから1週間後だったので、最初に心配されていた不安からくるペット達の体調不良や精神的な動揺といったことは、かなり解消されていたようですが、避難所生活をしている方々はご自身のことで精いっぱいでしょうから、自分から動物病院に出向くことも大変でしょうし、櫻井先生は物腰の柔らかい優しい先生なので、ペットや飼い主さんはきっと癒されたことだと思います。


往診獣医は、フットワークが軽い。どこでも診察できます。
野外だって大丈夫、診察台がなくったって、スタッフがいなくたって大丈夫、日常のことですから。。。

災害は起こらないことが一番良いのですが、もしも身近で大きな災害が起こってしまった時、
自分にもできること、自分にしかできない役割がきっとあるんだろうなと改めて感じました。

櫻井先生、お疲れさまでした。




ターミナルケアとは
2016年03月04日 (金) | 編集 |
るい動物病院を開設して1年と数か月が経ちますが、”往診診療” ”在宅医療”に携わる立場では、老衰であったり、慢性疾患の末期であったりと、いわゆる”看取りの医療・・・ターミナルケア”に関わる機会がぐっと増えます。

覚悟はしていたものの、せっかく呼んでいただいたのに、深く関わるまでもなくお別れの時を迎えることも多く、自分の仕事に対するモチベーションを、どのようにして維持していけばよいのか悩んでしまった時期があります。

勤務時時代だって、治療の甲斐なく亡くなってしまう患者さんもいましたし、老衰のケアや、慢性疾患と上手にお付き合いしながらお別れをしたケースだって普通に経験してました。

ただ、飼い主さんから『今までお世話になりました』という電話を受けて、ズーンと落ち込んだ後に、元気いっぱいの子犬のワクチン接種の診察をすることでテンションが上がったり、手術をして完治に持っていくことや、頑張って治療して患者さんが元気になる姿を見ることで、獣医としての充実感というか、達成感のようなものがキープできていたのかもしれません。

悶々とした日々を送りながら

『在宅医療を手掛けている人のお医者さんは、どんなことを考えているんだろう』

って考えたんです。

ペットはモノが言えませんが、人は自分の意思を表現できますし、人と人がお付き合いをすることで、そのお別れの現場は、ものすごく辛いものではないのかと、、、、。
そんな中でどうやって、モチベーションを維持しているんだろうって思いまして。

その時に読んだ本がこちらです。

穏やかな死に医療はいらない

外科医として医療の現場で積極的に働いていた著者の方が、『緩和ケア医』となって、その日常や想いが綴られた本です。

『ピンピンコロリ』 ではなく 『ゆっくりコロリ』

『治療をしないことは諦めることではなく、自分らしく生きることである。』

『自分の最期は自分で作る』

獣医は患者さんであるペット自身の意思を聞けないので、すべてが当てはまるわけではないのですが、ものすごく響くものがありました。

そして、、、

『在宅緩和ケア医=看取り屋』ではない。



自分が目指している往診診療、この本を読んでとても励まされた気がしました。




知人の獣医師に勧めた流れで久しぶりに本棚から出してきたこともあり、もう一回読んでみました。

・・・2回目読んでも泣きました。



ペットもそうですが、人の”在宅医療”のあり方に興味があるかたは、ぜひ一度読んでみるといいと思います。